古伝神事日本文化の原点

供饌祭  直会式           

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出雲地方はこの10月を神在月という。
全国から神々をこの出雲に迎えて万物の
移ろいを神々が語り合うという。
こんな時期、私の住む大東町の南東に位置する
上久野という地域に古くから伝承されている神事がある。
この地に祭られる「鎌倉神社」の例祭にこの神事を見た。

午後の例大祭に先立ち、午前10時頃から始まる
御供饌祭をこの神社の宮司さんの許可を得て紹介する。


末社祭の前の湯立て神事の様子
供饌祭


この神饌は本殿内に供えられる
生御膳
この神社に昔から関わりの深いN家から
備えられる山菜野菜を宮司宅で調整し、
神撰として供えられる。調理をしない膳組として
3台の三方に盛り付けられる。
3台あるのは御祭神が3柱祭られているためである。

祭りはN家から御椀と呼ばれる飯を盛り付けた
供え物の到着を待って始まる。
この御椀はN家で炊いた米をクマ笹を剣の形に切ったものを
13枚しいたうえに盛り付けられている。

箸はイヌサンショウという木からつくったもの
直会膳


祭典が終わると
N家の当主とW家の当主が宮司とともに
神饌として供えた菜と同じものを調理した
直会膳を食す。


御酒は銚子に入っているのは白酒に類するもので
幣子に入っているのが清酒である。

神事が終わると直会の儀に移る。
拝殿の上座に神像を置き、前に置かれているのが
直会膳である。4膳あるのは
神、宮司、N氏、W氏分である。
正面の神像はたたら製法により鉄を
型に流し込んで作られたものと感じた。
中は空洞ではなく、随分と重い。

この直会膳は神饌として供えられる生御膳を
調理したものである。
箸は同じくイヌサンショウで作られる。
箸が曲がっているのは生木から作るため
乾燥して曲がったものである。

まず、上座に神像を置き
神像の前の直会膳の杯に白酒を供す。
続いて宮司、N氏、W氏に供す。


使用する箸はイヌサンショウの木を切り、
新しく作ったものを使用する。
直会の間は黙して食べるのでなく
この年の天候や作物の作具合を神に感謝する言葉を述べ、続いて宮司が神のお心を伝える。
全体にこの年の天候や
作物の様子を話題としている。
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